私はスポーツ全般が好きです。その中でも子どものころから好きなのが野球です。
私はデータを眺めることが好きです。特に因果関係を明らかにして、隠れた真実を見つけるあの感覚がたまりません。
そこで、野球をデータの観点でもっと深掘りすれば同時に楽しめてお得だと思いました。そういうわけで、セイバーメトリクスについて学んでいき、野球をデータの観点で眺めていこうと思います。
セイバーメトリクスについての解説というより私自身が勉強したログを残す意図になるので、詳しい解説などはそちらに譲ろうと思います(丸投げ)。最後に参考にしたものをまとめて紹介するようにしますね。
セイバーメトリクスってなんだ
そもそもセイバーメトリクスって何なのでしょうか。名前は聞くようになって久しいし、OPSだのWARだの、アルファベット3文字の指標で選手を評価しているという、そんなざっくりとした認識はあります。でも、詳しいことは良く分かっていません。
調べてみると、この言葉を作ったのはビル・ジェームズという人で、1980年のことでした。彼自身はセイバーメトリクスを「野球についての客観的な知識を探し求めること(the search for objective knowledge about baseball)」と定義しています。想像よりずっと広くてシンプルな定義ですね。
名前の由来も面白くて、アメリカ野球学会(SABR = Society for American Baseball Research)の頭文字に、測定を意味する metrics をくっつけた造語だそうです。セイバーってなんとなくカッコいいと思ってたんですが、裏切られました。
閑話休題、セイバーメトリクスは何らか特定の指標や分析手法を指す言葉ではなくて、「データで野球を客観的に見よう」という営みや姿勢そのものを指しているらしい。OPSやWARは、その営みの中で生まれてきた道具の一部にすぎない、と理解しました。
セイバーメトリクスの定義は「野球についての客観的な知識を探し求めること」
で、結局それで何がしたいのか?
言葉の意味は分かったとして、じゃあセイバーメトリクスで結局何がしたいのか。ここが一番知りたかったところです。
調べた範囲だと、出発点は「打率や、投手の勝利数といった旧来の指標って、本当に選手の実力を表しているの?」という疑いにあるようでした。旧来の指標には、球場や味方や運といった本人以外の要素が混ざっている。そこを剥がして、その選手が「チームの得点や勝利にどれだけ貢献したか」を客観的に測りたい。ついでに、運と実力を切り分けたい。これがやりたいことの核っぽいです。
そしてこの発想で現場に勝ちをもたらした象徴が、映画にもなった『マネーボール』でした。2002年、オークランド・アスレチックスはヤンキースの3分の1ほどの年俸総額で、リーグ最高勝率を記録しています。他球団が見過ごしていた出塁率に注目して、割安になっていた選手を集めた結果でした。データで野球を見るのは机上の遊びではなく、実際に現場に浸透している考え方のようです。
というわけで、自分がセイバーメトリクスを学んでやりたいことも同じ方向です。数字から環境と運をできるだけ剥がして、野球を眺めてみる。そして自分の考えをちょっとだけでも持てるようになることです。
起源を調べてみる
だんだんと概要が分かってきたところで、もう少し起源をさかのぼってみます。
時系列だとこんな流れでした。まず1971年にアメリカ野球学会(SABR)が設立されます。1974年、ビル・ジェームズはピート・パーマー、ディック・クレイマーらとともにSABRの統計分析委員会を立ち上げます。そして1977年から、ジェームズは『Baseball Abstract』という統計エッセイ集を自費出版し始めました。自分が面白いと思った野球の疑問を、統計で検証していく本です。「sabermetrics」という言葉自体が生まれたのは、そのあとの1980年でした。
ただ、ジェームズが完全に無から生み出したわけでもないようです。1964年にはEarnshaw Cookが『Percentage Baseball』を出していたり、さらにさかのぼると1800年代にHenry Chadwickがボックススコアを考案していたり。点在していた「数字で野球を捉える」試みに、ジェームズが名前と体系を与えて広めた、という理解が近そうです。
- 1800年代Henry Chadwick がボックススコアを考案「数字で試合を記録する」発想の源流
- 1964年Earnshaw Cook が『Percentage Baseball』を出版統計で野球を分析した初期の試みのひとつ
- 1971年アメリカ野球学会(SABR)が設立のちに「セイバーメトリクス」の名前の由来になる学会
- 1974年SABRの統計分析委員会が発足ビル・ジェームズ、ピート・パーマー、ディック・クレイマーらが設立
- 1977年ジェームズが『Baseball Abstract』を自費出版面白いと思った疑問を統計で検証したエッセイ集
- 1980年「sabermetrics」という言葉が誕生ジェームズがSABRへのオマージュとして命名
代表的な指標をちょっとだけ
最後に指標です。とはいえ今回は概要回なので、深入りはしません。名前と、それが何を測ろうとしているかを一言ずつ眺めるだけにとどめておきます。
- OBP(出塁率) ヒットに四球や死球も足して、どれだけ塁に出たかを見る
- SLG(長打率) 長打の多さ、つまり打撃の破壊力を見る
- OPS 上のOBPとSLGを足しただけの総合打撃指標
- wOBA 出塁の「価値」を種類ごとに重みづけした、OPSの上位互換的な打撃指標
- WAR その選手が代替選手(誰でも補充できるレベルの選手)と比べて何勝ぶん上乗せしたかを、打撃も守備も投球もまとめて表す総合指標
- FIP 守備の影響を除いて、投手本人の力だけを見ようとする投手指標
- BABIP インプレーの打球が安打になった割合。運の振れを見抜く手がかりになる
- wRC+ 球場や時代の差を補正した得点創出力。100がリーグ平均
アルファベットの羅列に最初は身構えていましたが、こうして並べると「得点や勝利への貢献を、いろんな角度から測ろうとしている」という一本の筋が見えてきました。
学習計画を立ててみる
当てもなく眺めても迷子になりそうなので、ざっくり順番を決めておきます。
- #1(今回) セイバーメトリクスとは何か、目的と起源の概要
- 次 打撃指標から。OPS、wOBA、wRC+あたり
- その次 投手指標。FIP、BABIPなど
- その次 WARのような総合指標
- 最後 NPBの実データで、自分でも手を動かして確かめてみる
一次情報は、SABRが公開しているガイドや、英語版と日本語版のWikipedia、あとは指標の辞典サイトを軸にしていく予定です。あくまで自分のペースの勉強ログなので、寄り道もすると思います。
今日のまとめ
- セイバーメトリクスは特定の指標の名前ではなく、「客観的に野球を知ろう」という営みそのもの
- 目的は、額面の数字から環境や運を剥がして、得点や勝利への貢献を測ること
- ビル・ジェームズが1980年に命名し、『マネーボール』で現場でも通用することが示された
次回は、いちばん取っつきやすそうな打撃指標から手をつけてみます。
ではまた。


